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共生ってなんだ~メダカの水槽から見える凸凹社会~メダカ先生の水槽講座

新年あけましておめでとうございます。 倉敷発達障がい者支援センターです。

みなさま年末年始はどのようにお過ごしでしたか?

ご自宅や職場の大掃除を済ませ、気持ち良い新年をお迎えではないかと思います。

今日はそんなお掃除の立役者のお話です。

その前に1月にセンターより発行の凸凹お便りvol.12その中の記事「共生ってなんだ?!」も併せてご覧ください。

 

スピンオフとなる今回は陰の立役者、ヒメタニシさんとヌマエビさんのお話。

メダカの水槽を難なくきれいに透明にしてくれたこのお二人について、メダカの水槽環境を整えてくださっているメダカ先生(注※水槽管理ボランティアさん。センターが勝手にメダカ先生と呼んでいます)に詳しく教えていただきました。

以下、メダカ先生の解説をお楽しみ下さい。

 

どうも、「メダカ先生」です(笑)

まず今回水槽に放ったうちの一つ、「ヒメタニシ」ですが、水槽ではコケ(主に珪藻類)やメダカの食べ残しを食べてくれます。
ガラス容器では、口を開けてもぐもぐしながら移動する姿が見られるので、思っているより可愛くて見ていて飽きません。

タニシの中でもヒメタニシは小型で、生命力も高く飼いやすいことから選びました。ビオトープやアクアリウムを始めると、最初に壁面に茶色いコケが発生します。特にガラス容器だと視界を邪魔するので掃除が必要なのですが、淡水に住む巻貝(タニシの仲間やカワニナ等)を入れておくと喜んで食べてくれるのでお掃除が要りません。
クムレさんの飼育環境では各容器一匹ずつしか入れていないので、ちょっとお掃除が間に合わないのですが、容器に合わせて数を増やすと目に見えて壁面のコケの量が変わります。
タニシは卵胎生で、卵は産まずにタニシの形となって親から生まれてくるので、複数飼育だとある日突然増えます。

他の繁殖しにくい巻貝(イシマキガイ等)を入れることもありますが、メダカ飼育で身近な環境をと考えるとタニシやカワニナがお勧めされます。

 

次に「ヌマエビ」のご紹介です。ミナミヌマエビやカワリヌマエビ等と呼ばれることもあるのですが、採取飼育したものだと正直判断が難しいです。
ヌマエビは水槽内に生えた糸状のコケ(アオミドロなど)やメダカの食べ残しを積極的に食べて掃除してくれます。
また、雑食なのですが、おとなしい性格で他の生物を襲うことはまずないので、メダカ等小型の淡水魚との混泳によく選ばれます。
それと、小さなハサミで常に何かをツミツミもぐもぐしている姿はとても愛嬌があります。

ヌマエビも水と水草があればあとは自力で生活してくれて飼いやすいので選びました。
アオミドロ等の植物プランクトンはメダカやヌマエビなどの餌にもなり、環境も安定させてくれるのですが、育ちすぎるとヌマエビでは対処しきれなくなるので、目に見えて増えた場合は人が処理しないといけません。
また、前述したタニシは糸状のコケは食べてくれないので、その部分をヌマエビとメダカが食べてカバーすることになります。

ヌマエビの特徴として、身近でも非常に採取しやすい点があります。
網さえあれば誰でもつかまえることができるのですが、数十メートル離れただけでも環境によってエビの模様や色の特徴が変わるので、飼育とは違う探索・観察する楽しさがあります。

ヌマエビと同じようにコケ取りやお掃除役として選ばれるエビにスジエビがいます。
スジエビはヌマエビより大型で、ヌマエビでは対処が難しい状態のアオミドロ等も食べてくれるので助かるのですが、手長エビの仲間で肉食の気が強くメダカを攻撃することもあるので、よほど大きい容器で飼うか強いこだわりがない限りメダカ飼育の混泳には向きません。

おまけ(水槽ビギナーの方へ)
初めて水槽を立ち上げるととどうしてもお世話したくなるのですが、メダカやヌマエビなどは最初に環境を整えてからは、なるべく手をかけず必要な時だけ手を加えて見守るのがいいです。
水槽の中には水の浄化を助けてくれる作用が大きい水草等と、多孔質(赤玉土や牡蠣殻、ソイルなど)、それからお掃除好きのエビや巻貝類を入れて、水槽のお手入れは彼らに任せるといいです。

水中(主に多孔質の周り)で、目には見えないバクテリアが増え、このバクテリアがメダカ等の生体が排出した有害なものを分解してくれます。
また、水草も光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を供給したり、とメダカにとっては有害な物質を栄養として吸収します。

今回のセンターでのメダカの水槽のように、水草やバクテリア・それ以外の水槽内の生き物、プランクトンやメダカ・エビが共存し、一つの生態系が出来るようにしてあげると、自分たちでバランスをとって生活してくれます。

見栄えを気にしすぎて、土などの多孔質を入れずに水替えで対処しようとすると、水替えのたびに水槽の中の環境が変わって、最悪、中にいる生き物が星☆彡になってしまいます。
バクテリアが育たない環境ではフンなどに含まれる有害な物質が残り続けてしまい、結果、一定の量有害物質がたまると中の生き物が一気になくなってしまうこともあります。

また、人間から見るとただの水替えなのですが、メダカ等からすると急激な環境の変化になります。
水温1度2度でも、人間と違って体温が直接水温に影響される水中の生き物からすると、劇的な変化で、それとは別に僕たちにはわかりにくい水の性質(pH・アルカリ性や酸性等)の変化にもとても敏感に反応します。
人間でも今住んでいるところから突然南極だったり、40度を超えるような乾燥した熱帯の地域にポイっと放り込まれたら生きていくことが難しいと思います。
そうならないように、ぼくたちは生き物や環境を観察して、最低限足りないもの(減った水とおなかが減っているときの少しのご飯)を足してお手伝いしてあげることだけにすると、水槽の中の人達はとても生きやすいようです。

以上メダカ先生による水槽内の人たちが穏やかに過ごすためのお知恵でした。

「~の人たち」という先生のコメント、個人的に大好きです。

⇩⇩⇩これはメダカ先生監修のもと透明になった水槽の画像です。

「相手のことを知ること」・・・基本であって、普段忘れがちなことですね。

生坂の事業所にお立ち寄りの機会があれば是非、元気なメダカさん・タニシさん・エビさんに会いに来てください。

 

追伸:かわいいイラストのご協力ありがとうございました。

イラスト提供/じと芽さん

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