No.7 感覚統合ってなんだろう?
最近は、保育の先生もタイトルにもある感覚統合という言葉を知っていたり、保育園や幼稚園の中でもこの考え方が取り入れられたりと認知度と注目が高まってきている『感覚統合』ですが……感覚?統合?
今回はこの『感覚統合』について話をしていきましょう♪
『五感』とそれ以外の感覚
私たちは、日常的に「感覚」を使って外部からの情報を身体の中に取り入れて生活しています。
例えば…ご飯を食べる時も、ジュ~ッとおいしそうな音や香ばしいにおい、食欲をそそる見た目、ナイフやフォークを入れた時の感触や口に入れた時の食感と味など、五感をフルに使い食事という行為を楽しみます。
←わーお!おいしそう
このように日常生活の中でも自分で自覚しやすい感覚がある一方、ほとんど自覚せず、無意識に使っている感覚もあります
例えば…身体のバランスをとる時に使う平衡感覚(前庭覚と紹介されているものもあります)や身体の動きをコントロールする固有感覚(固有受容覚と紹介されているものもあります)などがあります。触覚も一部無意識に使っている本能的な機能もあります。
分かりやすい『五感』
- 味覚 ……… 食べることで認知され、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つを感じ取る感覚器です。
- 嗅覚 ………『におい』や『香り』を識別する感覚器です。
- 聴覚 ……… 一定範囲の音の波長(周波数や音波』を感じ取る感覚器です。
- 視覚 ……… 物の色や形やテクスチャーなどの情報から物体が何かわかる
- 奥行など空間的な情報から立体にとらえることができるため、運動にも関係してきます。
- 触覚(識別系) ……… 触覚の経験を重ね、情報を整理・蓄積していくことで、物に触れる(触れられる)ことで、それが何かわかるセンサー。硬さや質感、材質などあらゆる情報を整理することで、見なくてもそれが何か当てることができます。
気づきにくい感覚
- 平衡感覚 ……………重力の向き(方向)から傾きを感知したり揺れやスピードを感じ取る感覚器です。姿勢の保持やバランスだけではなく、目の動き(眼球運動)や覚醒にも影響しています。
- 固有感覚 ……………身体の位置や力加減、動きを感じ取る感覚器です。姿勢の保持や運動のコントロール、だけではなく情緒にも影響しています。
- 触覚(原始系)……原始系の機能として、瞬時に敵を感じ取り、闘争(逃走)するなど、本能的な感覚の使われ方をします。
※ 触覚も識別系が伸びることで原始系を抑制するようになってきます。例えば、キャンプなどで山に入っている時に、腕にゾワゾワという感覚があれば、腕を見てゾワゾワの正体が”虫”なのか”葉っぱ”なのか”風”なのか確認しますよね?
感覚の使われ方の個人差
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- 感覚の違いがその人らしさにつながる
人はそれぞれに感じ方に違いがあります。例えば生まれながらに微細な音を聞き分ける聴覚が敏感で、それが音楽的センスに結び付く人がいる一方で、聴覚が過敏すぎて防衛反応としてその場から逃げ出したくなるような人もいます。この反応の違いは、大胆・強引・引っ込み思案などといった性格的な個性にむずびつくことがありますし、時には感覚が過敏すぎたり、鈍感すぎたりすることが、他の人とのトラブルの原因になることもあります。そんな「感覚の使われ方の個人差」は、どんな人でも多少は抱えているものではないでしょうか?
- 子どものつまずきを招く、感覚のアンバランス
「平衡感覚」「触覚」「固有感覚」の3つの感覚は周囲から見ても認識しにくく、アンバランスさを抱える人の大変さは、なかなか理解されません。
発達障害があったり、気になる行動を見せたりする子どもたちが、どうしてそのような行動をとるのかを考えるときにはぜひ、この3つの感覚を注意深く見てみてください。
例えば…
「まっすぐ列に並ぶ」では、平衡感覚が鈍感だとバランスをまっすぐ保って立つということ自体が難しく、フラフラ落ち着きなく揺れたりする行動が見られたりします。また、固有感覚が鈍感であれば、筋肉の張りを保っておくことが難しく、身体がクニャクニャとしてしまい、すぐに座ってしまい、周りからは「だらしない」「態度が悪い」と見られてしまうことがしばしばあります。
このように同じように見える行動でも、その理由は何通りも考えられます。いくつもの「感覚のアンバランス」が組み合っていることもあります。子どもを理解するためには「触覚」「平衡感覚」「固有感覚」について詳しく知っていくことが大切になってきます。そのうえで子どもの姿を観察すると、つまずきの背景が見えてきます。
触覚につまずきがあると… | |
感覚が鈍感だと
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感覚が過敏だと
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平衡感覚につまずきがあると… | |
感覚が鈍感だと
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感覚が過敏だと
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固有感覚につまずきがあると… |
感覚が鈍感だと
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何気ない経験の積み重ねが、学習や運動の機能に…
- 感覚を統合しながら成長する
触覚、平衡感覚、固有感覚は、生来的に働いているといわれています。日々の生活の中で、この3つの感覚に視覚と聴覚を加えた5つの感覚をバランスよく使いながら、さまざまな活動を行います。その行動がまた新しい感覚刺激をうみ、それが新しい活動に繋がり……………と積み重ねていくことで、子どもはより複雑な行動や対応ができるようになってきます。
↑特別支援でのサーキットを毎回形を変えている理由の一つに、「新しい活動(遊具)に対してどのように身体を使ったら上手くできるかなぁ」といったことを問いかけています。この中ではボディイメージや運動を企画する力が伸びていくことを期待しています。
- 見えている子どもの姿は氷山の一角
学校や家庭で目にする子どもの姿は氷山の一角。その「土台」となっているのがこの5つの感覚なのです(下図)。これは積み木で作ったピラミッドのようなもので、土台となるいちばん下の積み木が1つでも抜けたり、不安定だったりすると、2段目・3段目に積み重なっている力が脆弱になり、感情や学習態度、生活態度まで影響を及ぼしてしまうことがあります。
基礎となる感覚が関係しあい、より複雑な機能を築きながら、運動や学習の力が積み上がっていきます。見えている姿は氷山の一角であり、実はその土台となる感覚の育ちが重要になってきます。
子どものさまざまなつまずきを「土台」から見直していくことが感覚統合の考え方です。
児童発達支援センターで行っているクラスの特別支援はこの考えや理論が基礎になって実施しています。
より詳しく知りたい方は妹山まで声をかけてくださいね♬
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