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とくしちゃんねる Vol.32 左利きの特性を例に別角度でADHDの特性に着目してみよう

近年では「利き手」を気にして生活することはほぼほぼ見られなりましたが、ひと昔前では”左利き”はご法度でした。その”左利き”が淘汰されていた時代を生き抜いた人たちはどのようなことを感じていたのでしょうか?筆者自身、右利きなので、その人たちの想いと苦労を知る由もありませんが、資料を読みながら推測してみたいと思います。

右利きに強制した武士
実は「左利きだった」言われている歴史的人物は何人もいます。しかし、武家社会において左利きであることは”ご法度”でした。

平安時代の武将の源為朝
剣豪!宮本武蔵
新撰組隊士の斉藤一など

 

 

 

 

なぜ左利きが”ご法度”だったのか?

武士は日本刀を左腰に差していました。これは刀を2本差している場合も同じで、刀は必ず右手で抜いていました。
では、左利きであれば、反対側に差しても良いように思いますが、武士であれば左利きは御法度!
必ず日本刀は左腰に差す決まりがあったのです。

武士は左側通行であったため、武士同士がすれ違う時にお互いの刀の鞘がぶつからないように左腰に差していました。
もし、刀の鐺がぶつかってしまうと、もめごとの原因にもなるほどなので、同じ左側に日本刀を差すというルールを作ることで、平穏を維持していました。

もうひとつの理由として、座って相手と対面するときのルールに、武士が正座をして相手と対面する際は、太刀を右膝頭の横に置くということが決められていました。
これは、刀の抜きにくい右側に置いて、「敵対心が無い」ことをあらわしていました。そのため、利き腕に合わせて異なる作法となっていては、「敵対心が無い」ことのアピールになりません。
このような理由から、武士の子どもであれば、左利きは許されず、必ず右手に矯正されました。

このような右利きの矯正は一般的に庶民にも広がっていき、日本の風習となったのではないかと考えられています。

厳し~💦

 

近年では”左利き”専用のるはさみや包丁、お財布といったものも手軽に購入できるような社会になりました。

スポーツの世界では”左利き”を「サウスポー」と呼び、練習でもなかなか相対することがなく、結果的に試合で攻略されにくいため、戦略的に少数派が有利に働くこともあります。このように文化が変化することで、「特性が輝き、羨まれる社会」が作られてきた歴史があります。

 

 

ADHDの「特性も輝き、羨まれる社会」がやってくるのでは?

ADHDとは、注意欠如・多動症のことで、注意を持続させることが困難であったり、順序立てて行動することが苦手であったり、落ち着きがなく待てなかったり、行動の抑制が難しく我慢ができないといった特徴が持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こっている状態です

特に集団行動を要求された際に、これらの特性は不利に働くことが多く見られます。その為幼稚園や小学校などでの生活や、社会人となり会社組織に所属した際にも特性が目立つと上手くいかない事が増えるため、特性を隠すことに一生懸命になったり、失敗を繰り返して「自分は何をやってもダメだ」と落ち込んだりすることも少なくありません。

・・・と、ここまではネガティブな側面ばかりに目を向けていますが、最近はこれらの特性が違う形で着目されるようになりました。

 

インターネットの普及とともにYouTubeやTikTokなどの映像を配信することが増えてきており、日本国内だけではなく全世界と繋がれるようになってきました。その中で自身がADHDであることを公表し、配信している方も多くいらっしゃいます。
その方の動画を見ると、映像の中ではとても活き活きとされています。
YouTubeなどの動画は企画⇒作成⇒編集⇒配信まで1人でもでき、いろんな情報を多くの人にいち早く届けるように、即断・即決・即行動に移す素晴らしい力があります。
冒険家や探検家はADHDだったのではないかといわれるくらい、他の人が思いつかないことをはじめることを得意とします。
このことから療育者として気付くことも多くあります。
皆さんも、子どもたちに自分の気持ちや思いを抑制する方法や手段を療育や訓練の中で教えていませんか?
私も事業所でそのような方法ばかりを子どもたちに教えていました。しかし、それだけでは根本の解決には至りません。
「この子たちが大人になった時に”左利き”と同じくらい当たり前に受け入れられる社会を療育者や養育者の皆さんと一緒に考え、話すことができる・・・そんな機会を一緒に作れたらなぁ」と考えていたりもしますが、なかなか行動に移れてはないようです💦(こういう時にADHDの特性を羨ましく思います!)

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