ブックタイトルクムレ60年の歩み

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概要

クムレ60年の歩み

「ノーマライゼーション」の福祉へ平成になると、障がい者施設の存在自体が見直されはじめ、従来のように障がい者を施設の中だけで療育支援するのではなく、可能な限り地域で生活しながら、必要なサービスを届けるスタイルが求められるようになった。しかし、障がい者施設への入所は、市町村が委託する施設に利用者を割り振る「措置制度」であったため、利用したくても入所できない人が、地域の中にはたくさんいた。地域で暮らす障がい者たちにもできる限りの支援をしようと、平成10(1998)年4月、法人が主体の地域福祉のあり方や取り組みについて検討した。「ノーマライゼーション委員会」を立ち上げ、障がい者支援員だけでなく、保育士も一緒になり、法人全体として今後の障がい者支援について協議した。その中心となる役割を担って、財前民男現理事長が雨宮慎二前理事長からバトンを渡され、今後のクムレを背負う新たな手腕を発揮することになる。そのような中で、「知的障がい者更生施設あしたば」は地域福祉の核となる役割をもつ入所施設として、地域から期待された。12月から新たな取り組みとして、障がいのある在宅中高生を対象にした、休日デイサービスを試行的にスタートした。障がいのある子どもの保護者から、夏休みなどの長期休暇の間利用可能なサービスが求められていたことから始まった事業である。開始当初は反響が大きく、連日定員がいっぱいの状態であった。日程調整をしなければ利用できないほどであったが、本格的な事業ではなかったため、スタッフの人員不足にも悩まされ、ボランティアや学生アルバイトを募集し対応した。当時、休日デイサービスは国の制度の適応外であり、利用者からわずかな利用料をいただき、事業をやりくりしていた。この事業をきっかけに、地域の障がい者と施設との結び付きが強くなり、その後さまざまな地域支援事業が取り組まれていった。また、地域の障がい者の悩みやニーズを聞き取るための相談支援事業も「あしたば」で始まった。当初は施設への入所方法に関する保護者からの問い合わせや相談が多く、地域に開かれた相談窓口とはいい難かった。どうすれば地域の障がい者に利用してもらえるのか、相談支援事業をさらに充実させるため、「あしたば」職員たちは全国の施設を視察し、相談支援事業のあり方について研究を重ねた。その結果、平成13(2001)年4月、「倉敷地域生活支援センター」を「あしたば」内に開設し、在宅の障がい者に向けた相談支援事業を始動した。その後、施設内ではなく、地域に出かけ障がい者に寄り添った相談支援36