ブックタイトルクムレ60年の歩み

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概要

クムレ60年の歩み

第2章養護と教育の一体化を目指した新しい保育の幕開け統合保育によって障がい児は健常児から刺激を受け、それによって発達が促される。一方健常児は、障がい児のハンディキャップを理解することで、いたわりの心や思いやり、助け合いの心が芽生える。運動会では、毎年健常児と障がい児が一緒に手をつないで入場し、共に歩んでいく様子を見守った。幼児期にこのような経験を積み重ねることによって、子どもたちは障がいについての偏見をもつことなく「人として」成長していく。障がい者と健常者がお互いに特別に区別されることなく社会生活を共にするノーマライゼーションの考え方を、保育の場でも実践していった。「小ざくら方式」の実践によって、子どもたちの知的能力や運動能力、表現力のいずれにもめざましい成長が見てとられた。知能検査ではIQ120を超える子どもたちも少なくなかった。毎年の行事(運動会、保育発表会、音楽会など)の内容は高度化し、見た目にも華やかなものになっていった。まさに「子どもの可能性は無限である」と保母たちも実感したのである。平成2(1990)年には、浅田理事長自身が、昭和50年代の「小ざくら方式」の実践例を一冊の本にまとめ上梓している(『子育て』/浅田弘義編/社会福祉法人光明会発行)。0歳からまさるの教育の必要性を説いた井深大氏の理念や、脳平成2(1990)年に、障がい児のリハビリ治療で知られるグレン・浅田理事長がドーマン博士、そのほか、外部の保育専門家の「小ざくら方式」の実践例をまとめ出版した見地も取り入れた育児の参考書として、保育関係者や保護者に活用された。しかし、昭和60年代以降、社会がより複雑・多様化していく中で、非行やいじめ、不登校、受験競争の加熱などがクローズアップされるようになり、教育の崩壊といわれる現象が大きな社会問題となった。教育の量的拡大や学歴偏重社会の弊害などを指摘する声もあり、改めて教育のあり方に疑問が投げかけられるようになった。こうした背景のもと、保育指針は子どもの主体性の育ちを重視する内容へと見直しがなされるに至ったのである。発達に応じた遊びや幼児期にふさわしい生活を通して、自ら考え行動できる子ども、すなわち「生きる力」を育む環境づくりや関わり方が保育活動に取り入れられるようになっていった。昭和50年代後半?平成10年代クムレ60年の歩み29